『珈琲ですんなり禁煙卒煙』
もともと煙草は好きで、二十歳の頃からずっと吸ってた。珈琲を飲みながらの一服はリラックスのひとときだから珈琲と煙草はいつもセット、欠かせない組み合わせだった。それが吸わなくなった。もっと言うと煙草が美味しくなくなってしまった。煙草はいらないなぁと思うようになった。どうしてかと言うと。
43歳の初夏、朝は長袖だけど日中は半袖になることが増えてきた5月の終わり頃、珈琲を焙煎する1日講座に参加してみた。珈琲を自分で焙煎するなんて考えもしなかったのだけど、NHK文化センターの折込チラシに紹介されている講座の中にあり、せっかくなんだし面白そうだからという妻の強い勧めもあり、参加してみることにしてみた。
講座の前半は講義。珈琲は焙煎して火を通すと、料理と一緒でどんどん酸化して味が落ちる、美味しくなくなる。鮮度が大切なんだという話が印象的だった。確かにペーパードリップをする時の豆の膨らみ方が違う。よく膨らむ豆は香りもいい。ちなみに鮮度がいい状態で美味しく飲めるのは、豆の状態で1週間、挽いたら3日、抽出したら30分と言われていた。
講座の後半では実際に焙煎をしてみた。人生初の焙煎。お茶の葉を煎る時にも使うような器具、陶器なので遠赤外線効果もあってより美味しく出来そうだ。左右に振りながら数分間で煎り終わり、次は皿に移して団扇で仰ぎ冷ます。よく冷ましたら電動ミルで挽いてペーパードリップで抽出し完成。
全体的にムラなく焙煎でき、抽出してみると香りも非常によくて豆も膨らんだ。ただ飲んでみると美味しいのだけど何か物足りない感じだった。ちょっと浅煎りだったようだ。もう1回焙煎させてくれ、2回目は豆の表面に脂分の艶が出てきて色も黒っぽくなった。この豆は自宅に帰ってから飲んでみたけど、香りはとてもよく美味しかったのだけど深煎りで苦い珈琲だった。
焙煎したての珈琲を飲んだ帰り道、いつものように車の中で煙草に火を付けた。するとふと思った。「ん?味が違う。」1本吸ってはみたけど舌がおかしい。その時は漠然とどうしてだろうと思っていた。
講座の時に焙煎用の器具を購入して帰り、ネットで生豆を注文し、生豆が届いてからは自家焙煎の日々が始まった。毎日のように、焙煎したての新鮮で豆がよく膨らみ、いい香りが広がり、酸味も苦みもコクもある美味しい珈琲を飲めるようになった。そしてその美味しい珈琲と一緒に庭に出て煙草を吸っているうちに気がついた。というか確信した。「この珈琲に煙草は合わない。」
段々と煙草が美味しくないと思うようにもなり、まぁ吸わなくてもいいかとも思い、ほんの数日で卒煙。しかも何の努力も苦労もなくだ。
世の中禁煙ブーム。電子タバコに興味はないし、このまま紙たばこを吸うんだろうなと思っていた。あれから4年近く経つ。たまの飲み会で少し吸うことはある。その時は懐かしい感じというか、久しぶりに煙草もいいなあと思う。嫌いになった訳ではないようだけど、日常的にはいらない。たまにだから美味しいのだろう。
禁煙したい人、煙草をやめてみようかなと思っている人、チャレンジしてみませんか?珈琲を飲むだけで禁煙できるかも知れませんよ。